カネラフィーナの母ジョイカネラ(Joy Canela)について深堀りする
出資馬にして命名馬なカネラフィーナの未勝利戦が終わり、ルメール騎手から「距離延長した方が良い」とのコメントが出てきて、「この馬の適性ってどこにあるんだ」と改めて気になってきました。
父と母の戦績から推測するのが良かろうということで、ひとまず日本語での情報が少ない母ジョイカネラ(Joy Canela)について深堀りしてみます。
基本的な情報
日本語のニュースで出回っているジョイカネラについての情報は、ほとんどJBISに記載されているものと一緒。ということで、基本的な情報を羅列。
- 2016年8月18日生まれの牝馬。日付の通り、南半球産(アルゼンチン産)。つまり、日本馬と比較すると、グランアレグリア(2016年産)とデアリングタクト(2017年産)の間の世代。
- 生涯戦績は4-3-0-1でG1を2勝。すべてアルゼンチンでのレースです。
- また、JBISに記載はないですが、2020年にアルゼンチンの3歳牝馬チャンピオンを受賞しています。
- 父はフォーティナイナー系のFortify。アルゼンチンでG1馬を何頭も排出している種牡馬のようです。
- 母はStormy Catlike。母父はStorm Cat系のBernstein(こちらもアルゼンチンのトップサイアー)。
- 5代血統表内にフォーティナイナー、Northern Dancer、Secretariatのクロス持ち。
- ファミリーNo.はF4-e。
非常に優秀な馬ですね。
そんなアルゼンチンの怪物牝馬が、以下の通り2021年に日本に輸入され、今に至ります。
産駒情報
2024年現在、すべての産駒がノーザンファームで生産されています。
2022年産(初仔) 父Frankel 馬名: カネラフィーナ 牝
- 総額5,000万円でシルクから募集
- 2024年10月7日時点で戦績は0-2-0-0
2023年産 父キズナ 牡
- セレクトセールにて、1億5,000万円で"ホウオウ”冠の小笹芳央オーナーが落札。 news.netkeiba.com
2024年産 父コントレイル 牡
- セレクトセールにて、1億9,000万円で藤田晋オーナーが落札。 www.sanspo.com
交配された種牡馬からも、募集額・落札額からも、期待が伝わってきます。
2024年の種付け相手が非常に気になるところです。
深堀り情報
ここからは、アルゼンチンのスタッドブックをもとに、深堀りしていこうと思います。
戦績以外
目についた情報が3点。
- 現役時の体重は453kg-484kg。好馬格です。最もハイパフォーマンスを発揮したと思われるエンリケ・アセバル大賞出走時が、最低体重453kgでした。
- 2021年3月9日にアイルランドへの輸出歴があります。Frankelとの交配のためでしょう。そこから、カネラフィーナを受胎した状態で、日本に輸入されたはずです。
- それにしても、わざわざアイルランドを経由してFrankelと交配させた意図が気になります。生産者側の誰かに語って欲しいです......
- ジョッキーは8戦すべてOrtega Pavon Eduardo(オルテガ・パボン・エドゥアルド)騎手。アルゼンチンでリーディング受賞歴のある、トップジョッキーのようです。
戦績考察
ひとまず生涯戦績を一覧で並べます。
| 年月日 | 格 | コース | 距離 | 年齢 | 性別 | レース名 | 着順 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2019/06/22 | 一般(アローワンス) | 芝 | 1,400m | 2歳限 | 牝限 | クレイジープラス賞 | 1着 |
| 2019/07/15 | 一般(アローワンス) | ダート | 1,600m | 3歳限 | 牝限 | ノウナウ賞 | 1着 |
| 2019/08/10 | G2 | ダート | 1,600m | 3歳限 | 牝限 | クラシコ・ルイス・マリア・カンポス将軍賞 | 2着 |
| 2019/09/07 | G1 | ダート | 1,600m | 3歳限 | 牝限 | ポージャ・デ・ポトランカス大賞 | 1着 |
| 2019/10/05 | G1 | ダート | 2,000m | 3歳限 | 牝限 | セレクシオン大賞 | 2着 |
| 2019/11/02 | G1 | 芝 | 2,000m | 3歳限 | 牝限 | エンリケ・アセバル大賞 | 1着 |
| 2019/12/14 | G1 | 芝 | 2,400m | 古馬混 | 混合 | カルロス・ペレグリーニ大賞 | 8着 |
| 2020/09/11 | G1 | ダート | 2,000m | 古馬混 | 牝限 | エストレジャス大賞ディスタフ | 2着 |
2歳末の冬にデビュー、一般戦を2連勝してからG2に挑み2着。以後、G1に出走し続け、4歳になってから2ヶ月ほどでラストレースを迎え引退。
1,400m-2,000mで完全連対、唯一の掲示板外は2,400m戦と、驚異的な戦績です。当時のアルゼンチンでは、スターホースだったのでしょう。
また、惨敗した2,400m戦は、「南米の凱旋門賞」と呼ばれるカルロス・ペレグリーニ大賞なので、正直悲観するものではないです。
アルゼンチンにおける馬の使い方がこうなのかもしれませんが、2-3歳で毎月レースに出走していてちょっとビックリします。
2019年12月から2020年9月まで出走間隔が空いているのが気になりますが、こちらの事情は分からず。
以下、条件別に集計して、傾向を洗い出していこうと思います。
距離
SMILE区分に従って見てみましょう。
| 区分 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 |
|---|---|---|---|---|
| 全戦績 | 4 | 3 | 0 | 1 |
| Sprint(1,000m-1,300m) | 0 | 0 | 0 | 0 |
| Mile(1,301m-1,899m) | 3 | 1 | 0 | 0 |
| Intermediate(1,900m-2,100m) | 1 | 2 | 0 | 0 |
| Long(2,101m-2,700m) | 0 | 0 | 0 | 1 |
| Extended(2,701m-) | 0 | 0 | 0 | 0 |
マイル〜中距離の馬なのでしょう。マイルの方が若干戦績良く見えますが、誤差の範囲です。
先述の通り、長距離での負けはカルロス・ペレグリーニ大賞でのものなので、もう少しレベルが低い長距離重賞だったらどうだったのかなぁと思わなくないです。
芝 or ダート
芝/ダート別の戦績は以下の通り。
| 区分 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 |
|---|---|---|---|---|
| 全戦績 | 4 | 3 | 0 | 1 |
| 芝 | 2 | 0 | 0 | 1 |
| ダート | 2 | 3 | 0 | 0 |
エンリケ・アセバル大賞でのぶっちぎりが印象的で芝馬のイメージを持っていましたが、思っていた以上にダートが主戦場でした。
ただ、レース映像を観ると、着差的な意味で派手なのは、芝でのデビュー戦とエンリケ・アセバル大賞なんですよね。どこまでも伸びていくんじゃないか、そんな走り方をしています。やっぱり芝馬なんじゃないかなぁ。
そんなことを言いつつも、ダートでの安定感を踏まえると、カネラフィーナのダート挑戦も気になってきますし、ダート系種牡馬との交配も見てみたくなってきます。
レースの格
一応集計。
| 区分 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 |
|---|---|---|---|---|
| 全戦績 | 4 | 3 | 0 | 1 |
| 一般(アローワンス) | 2 | 0 | 0 | 0 |
| G3 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| G2 | 0 | 1 | 0 | 0 |
| G1 | 2 | 2 | 0 | 1 |
G1ばっかり走っているな、以上の感想はないです。
牝馬限定戦 or 混合戦
以下の通り。
| 区分 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 |
|---|---|---|---|---|
| 全戦績 | 4 | 3 | 0 | 1 |
| 牝限 | 4 | 3 | 0 | 0 |
| 混合 | 0 | 0 | 0 | 1 |
牝馬戦線を駆け抜けてきた感じですね。混合戦の負けについては、繰り返し述べている通りカルロス・ペレグリーニ大賞でのものなので、大目に見たいところです。
世代限定戦 or 古馬混合戦
以下の通り。
| 区分 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 |
|---|---|---|---|---|
| 全戦績 | 4 | 3 | 0 | 1 |
| 2歳戦 | 1 | 0 | 0 | 0 |
| 3歳戦 | 3 | 2 | 0 | 0 |
| 古馬混合戦 | 0 | 1 | 0 | 1 |
アルゼンチン競馬は引退が早いそうなので、世代限定戦が中心なのはさもありなんという感じです。
ただ、アルゼンチン牝系に対して仕上がりが早いイメージを持っていましたが、2歳時は1回しか出走していないんですね。ここは意外でした。
代表的なレース
印象的なレースを、動画と共に紹介します。
※ここに載っていないレースも、スタッドブックにYouTubeへのリンクが記載されているので、ぜひ観てみてください。
クレイジープラス賞
- 2歳牝馬限定 芝1,400mの一般戦(アローワンス競走)。
- 派手なデビュー戦です。直線で何度も不利を受けつつ、素質の違いで押し切っています。2着に5馬身差をつけました。
ポージャ・デ・ポトランカス大賞
エンリケ・アセバル大賞
- 3歳牝馬限定 芝2,000mのG1。
- キャリアハイの6馬身差で圧勝します。最後の直線の伸びが本当に素晴らしく、何回でも観ちゃいますね。
カルロス・ペレグリーニ大賞
- 芝2,400mのG1。アルゼンチン国外からも競合が参戦する、「南米の凱旋門賞」です。
- アルゼンチン3歳四冠の最終戦にも位置づけられています。
- ジョイカネラ唯一の完敗がこのレース。出走馬23頭のうち紅一点、道中は包まれ、直前は最後で失速しました。
総評
- アルゼンチンにおけるトップ中のトップホースだったんだなぁという感想。
- 戦績的にはダートのマイル〜中距離馬だったという評価になるでしょう。
- しかし個人的には、エンリケ・アセバル大賞での勝ちっぷりに夢を感じます。本質的な得意条件は芝の中距離だったのではないかなぁと。
- 長距離適正は、カルロス・ペレグリーニ大賞8着の戦績だけでは判断が難しいです。ただ、エンリケ・アセバル大賞での余裕を見ていると、牝馬限定の2,400mであればこなせたのではないか?と思ったりします。
さて、この馬とFrankelから産まれたカネラフィーナの適性はどこにあるんでしょうねぇ。
2022年産の出資馬について
昨年シルクHCに入会し、いよいよ(順調に進めば)今年から出資馬が走り始めます。全4頭です。
それぞれについて、出資理由などを書き残しておこうと思います。
2022年産の出資馬一覧
いずれも牝馬です。
- カネラフィーナ(ジョイカネラの22、父Frankel)
- チェルビアット(キューティゴールドの22、父ロードカナロア)
- ベルアーブル(アグレアーブルの22、父ビッグアーサー)
- レイナサグラーダ(モアザンセイクリッドの22、父レイデオロ)
出資初年度ということもあり、とりあえず実績を積もうという戦略で、一般抽選で通りそうな馬からビビッと来るものを選んでいきました。 4頭ぐらいになれば嬉しいと思っていたので、ちょうど良い感じになりました。
各馬について
ということで、以下、馬ごとに書いていきます。
カネラフィーナ
恐らく、最も順調なのがこの馬。6月東京デビューを目標にしていました。最近、馬房内で怪我をしたのですが、そんなに重くなさそうなので、なんとか早めデビューのまま進んでくれると嬉しいです。
ちなみに運が良いことにこの馬の命名者になれました!一口初年度から非常に嬉しいです。
カネラフィーナ、なんだかんだ命名一番乗りだったらしく、命名記念品を貰った。サラブレッドの名付け親になるとかいうイベント、思ったよりも早いうちに達成できてしまったな...! pic.twitter.com/GtMCNE4gKy
— おじさん (@zuk2y) 2024年4月22日
出資理由
以下の2点です。
- Frankelの日本におけるアベレージでの成績が優秀
- 母ジョイカネラがアルゼンチンでG1・2勝
Frankelは日本における出走頭数が少ないためリーディングでは目立ちませんが、出走馬のアベレージの成績は非常に良いです。なんだかんだG1馬も複数出ていますし、日本競馬への適正は高いのだと思います。
そして母ジョイカネラは、アルゼンチンで芝2,000mとダート1,600mとでG1を勝利している名牝。以下のエンリケアセバル大賞での走りを見てみてください!相当強いです。
アルゼンチン牝系の日本での活躍は周知のとおりですし、かなり期待が持てるかなと思います。
展望
父と母の戦績的に1,600~2,000mあたりが主戦場かなと考えていましたが、POG黄本でのコメントだと1,400m~1,600mでのデビューを目指しているとのこと。生産者からの評価はマイラー or スプリンターなのかなと思います。
現状の完成度の高さからも、アルゼンチン牝系というバックグラウンドからも、早熟タイプであることはほぼ確実でしょう。なんとか2~3歳の間に大きいところを獲って欲しいです。
そして、今からこんなことを言ってどうするのだという話ですが、繁殖に入ってからが非常に楽しみな一頭でもあります。欧州トップサイアーにアルゼンチン牝系ということで、完全に「異邦の血」とでも称すべき血統構成となっている本馬。5代血統表にSSもキングマンボもいないわけで、日本のトップサイアーの多くと交配可能です。夢が広がります。
チェルビアット
こちらもなかなか順調です。特に、POG赤本で須田鷹雄さんから言及されているのが嬉しいです。
出資理由
以下の2点です。
正直書いてある通りなのですが、これで1.5次募集まで残っていたのは不思議です。募集時の体重(425kg)がやや軽かったからなのか、母が高齢だからなのか......
展望
父ロードカナロアですが、距離は持ちそうということがクラブ公式からもPOG本からも伝わってきます。中距離の王道を進んでくれるのでしょうか。
募集時から体重もしっかり増え、直近で455kg。早ければ5月移動という話も出ているので、このまま順調に進んで欲しいです。
ベルアーブル
各社のPOG本で無風なのがちょっと寂しいですが、期待している一頭です。
出資理由
以下の2点です。
- 母の現役時のポテンシャルの高さ
- 母の馬格良さ
母アグレアーブルは主な勝ち鞍が500万下(現1勝クラス)と、戦績だけ見るとパッとしません。
ただ、当時のブログやニュースを漁るとなかなか興味深いです。例えば、以下の通り、新馬戦後に皐月賞とダービーに登録したなんて話があります(元になっているニュース記事は見つけられなかったので、引用しているブログにて)。
東スポ杯2歳Sにも出走していたので、見込まれたポテンシャルは相当のものだったと思います。
そしてアグレアーブルについて更に特筆したいのは馬体重です。現役での出走時最高体重はなんと504kg。牝馬としてはかなりの好馬格です。
父ビッグアーサーも大柄な種牡馬ですから、ベルアーブルもそれなりに大きく育ってくれるのではないかと思っています(募集時馬体重は384kgとかなり小柄でしたが)。
なにか一発あってもおかしくないので、ベルアーブルに限らず、アグレアーブルの子は次代以降も積極的に狙っていきたいです。
展望
7月移動が視野に入っているとのことで、思ったより順調に進んでいます。体重も募集時から30kgほど増え直近で412kg。父と母の体重を踏まえるともっと大きくなる気もしますが、どうなのでしょうか。
父が父なだけに距離は短めかと思っていますが、「スピード感は見られない」というコメントを貰ったりしているので、どう進むかは気になります。
レイナサグラーダ
いつの間にか兄のドゥレッツァが菊花賞を勝ち、G1馬の妹になっていました。兄に続いてぜひとも頑張って欲しいです。あと名前がめっちゃかっこいいですね......!
出資理由
以下の1点です。
母モアザンセイクリッドはG1馬です。人気薄でしたが、これだけで十分に出資理由になると判断しました。
モアザンセイクリッドはノーザンFの繁殖牝馬でしたが、成績が思わしくなかったのか、売却されたようです(以下参照)。
菊花賞馬(ドゥレッツァ)の母となったモアザンセイクリッドは、元々オセアニアから輸入された繁殖牝馬ですが、昨年のミックスセールで売却され再度海外に転出。現在はフランケルを受胎しているとのこと。
— netkeiba (@netkeiba) 2023年10月22日
モアザンセイクリッド (More Than Sacred)の血統表 | 競走馬データhttps://t.co/bOIKPAyn39 https://t.co/Yz4EGmA06d
ただ、その後ドゥレッツァがクラシックを獲ったので、馬産ってのは難しいものなんですね......
展望
出資した4頭の中では1番デビューが遅そうな雰囲気です。体重も直近で415kg。じっくり進んでいって欲しいです。
とにかく一番気がかりなのが、(出資決定後に徐々に判明してきた、)「レイデオロ牝馬の成績が壊滅的」というデータです。「馬格が足りないから」という話がよく上がりますが、レイナサグラーダにもしっかり当てはまります。なんとかデータを打ち破って活躍して欲しいものです。
まとめ
ということで、以上!なんとか無事にデビューして、少しでも上の着順を目指して、あわよくば大きいレースを獲って欲しいものです。